☆意外と知らない☆ダイヤモンド選びのコツって何?
今日は少し、日ごろあまり触れていない「ダイヤモンド」のお話をしてみたいと思います。
当店は、実は元々ダイヤモンドの卸をメインに行っていた会社のスタッフが立ち上げた会社です。
長年ダイヤモンドを扱っていると、卸会社だったので直接の取引は卸先の業者様でしたが、その先の最終的に探していらっしゃるお客さまの「こういうものがほしい」「こういったものは探せないか」というご要望を、間接的にではありますが耳にすることも多かった時代でした。
ダイヤモンドは、特別な人間だけが身につけるものではありません。むしろ、「婚約指輪」として男性は一生に一度は購入する機会がある可能性がある、女性は男性から送られる可能性がある・・・ということを考えると、「自分には関係のない宝石だわ」というどころか、誰しもが一生に1個は持つ可能性がある「一番身近な宝石」だといえるのではないでしょうか。
それに加え、ダイヤモンドは宝石の中では一番「硬い」鉱物です。多く聞かれるのは、「ダイヤモンドはとっておきの時に身に着ける」として、普段は宝石箱にしまわれていることが多いということです。でも、その”耐久性の高さ”からいえば、普段使いに毎日身につけることに一番向いているのが、この「ダイヤモンド」なのです。
一年にたった一回や二回の使用なんてもったいない!!
むしろ、人生のパートナーとして常に貴方の指に、首元に輝かせていて欲しい宝石です。
じゃあ、一つ持ってみようかしら・・・と思ったところで、「ダイヤモンドってどうやって選んだらいいの?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
宝石店に行って質問しようにも、まず何を質問すれば「失敗しないダイヤモンド選び」ができるかがわからない。
販売店さんは、もちろん良いものだとして自身の店で商品を扱っているので、あまり進んで”欠点”を伝えようとは勿論しません。どうやって選ぶか迷っているうちに、店員さんが勧めるままにやたらと高いダイヤモンドを買ってしまった・・・という経験を持つ方も、中にはいらっしゃるのではないでしょうか。
ダイヤモンドに限らず、宝石を選ぶときに失敗しないコツは、「これだけは譲れないポイント」をご自身で決めておくことです。今回は、それをダイヤモンドに絞ってご紹介してみたいと思います。
勿論、あくまで私の意見ですので、参考程度にしてみてくださいね♪
ダイヤモンド選びのコツは、一般的に知られている4Cと呼ばれる4つのグレードのセレクトに絞られます。勿論、ダイヤモンドの価格はデザイン料や加工代、お店がとるマージンを抜かすと、この「グレードが基準となったダイヤモンドの価格」がメインを占めることになります。ですので、「失敗しないダイヤモンドの選び方」は、「失敗しない4Cの選び方」といえるかもしれません。
しかし今回はそこにもう一つの「C」を加えて、ダイヤモンドの「5C」としてご紹介していきたいと思います。
まずは、「4C」プラス「1C」とは何ぞや・・・?ということですが、
○カラット(石の重量のこと=Carat)
○カラー (色の等級=Color)
○クラリティ(透明度=Clarity)
○カット(形の総合評価=Cut)
プラス・・・
○コスト (金額=Cost)
の5つです。
すべての言葉の頭文字が「C」の為、一般的にはダイヤモンドのグレードは「4C」(今回は「5C」)と呼ばれます。
○カラット(Carat)で選ぶ
カラットは石の大きさだと思われている方も多いと思いますが、正確には石の重量単位です。1ct=0.2gで、もちろんカラット数が大きくなれば大きさも大きくなるので、必ずしも「完全に間違い」とは言えないのですが・・・。
ストレートに「ダイヤモンドは大きい方が良い!」という方は、もちろんカラット数が大きいものを選べば間違いないのですが、ここでポイントになるのはダイヤモンドを正面から見たときの「大きさ=直径」です。特に、販売価格がグンと跳ね上がる「1.0ct台」以上の石を選ぶ場合は、たとえ1.0ct以上のカラット数があっても、直径が小さくて深さが深い(厚みのある石)であることも少なくありません。1.0ct台のダイヤモンドは特に、直径が6.4mm以上(できれば6.5mm以上)のものを選ばないと、結局は実質0.8~0.9ct台のダイヤモンドと見た目が変わらなかった・・・といったことになりかねません(値段はしっかり、1.0ctの金額なのに・・・)。
厳密には、直径が小さすぎるダイヤモンドはカット評価が下がるので上記のように極端に購入する側が損することはありませんが、「せっかく頑張って1.0ct台の石を買ったのに、思ったよりも小さく見える」といった理由で結局気に入らなかった・・・といった失敗は避けられると思います。
カラット数(重量=見た目の大きさ)を重視してダイヤモンドをお選びになる際は、是非、その「カラット数に見合った十分な直径があるかどうか」に着目してみてください。
♪店頭でのキーワード♪
「この直径は、このカラット数に理想的なサイズですか?」
○カラー(Color)で選ぶ
好みにもよりますが、ダイヤモンドのカラー・グレードはかなり微妙な色の濃度で細分化されているグレードです。勿論、1グレード違えば値段も違ってきますが、実はダイヤモンドを上から見た印象は1、2グレードくらいの違いではそうそう変わりません。特にダイヤモンドは輝きが強い宝石ですので、よほど目の良い方でもEとF、GとHなど隣あったカラーグレードの差は分からないものです。
もちろん、カラーグレードは好みがあると思いますので、ここでは「ちょっとカラーグレードが低めでも気にならないパターン」をご紹介いたします。
それは、「金枠(イエローゴールド・ピンクゴールド)」のように、色の付いている金属の枠に留める予定の場合です。
とくにイエローゴールドに留める予定の場合は、せっかくDカラーの石を選んでも枠に留めた時点で反射の関係でちょっとダイヤモンドに黄色味を感じるでしょう。逆に、カラーHやIのダイヤモンドを留めたとしても、黄色味はプラチナ枠の時よりも全然気にならないと思います。
もし、金枠でお作りになりたい場合だったら、予算と合わせて考えた場合に抑えられるのは「カラー・グレードである」と覚えておくと、カラー・グレードを抑えた代わりに、他をアップ・グレードできる可能性も出てくるかもしれません。
♪店頭でのキーワード♪
「枠はK18で作りたいと思っています」(※銀色で作りたいか、金色で作りたいかを、あらかじめ伝えておくのがOK!)
○クラリティ(Clarity)で選ぶ
実は、ここが一番賛否両論分かれる部分だと思います。
簡単に言ってしまうと、肉眼で輝きを邪魔する内包物(傷・インクルージョン)が見えてしまうかどうかの境目が、「SIクラス」と呼ばれるクラリティ・グレードです。例外もありますが、大体は
・肉眼で見えないレベル→クラリティ「SI-1」
・目が良い人は肉眼で「ここに何か入っているかな?」となんとなく分かるレベル→クラリティ「SI-2」
に分けられると思います。
クラリティは、最も「使用目的」に左右されるグレードかもしれません。
「婚約指輪に使いたいから、内包物があるのは何となく縁起的にイヤ」とか、「肉眼で見える云々関係なく、不純物がないものが欲しい」という場合は、やはりVS-1以上のものを選ばれた方が良いと思います。VVSクラスやInternally Flawlessまでにこだわるかどうかは、もうこれはご本人のこだわり次第。目に見える・見えない以前のご自身の気持ちだと思うので、これは予算が許す限り・・・といったところでしょうか。
肉眼で内包物が見えず、耐久性にも問題なく使用できるのがVS-2からSI-1クラス。敬遠されがちなSI-2からI-1クラスの、ちょっと耐久性に問題が出始める、ともすれば肉眼で内包物が見えてしまうグレードのものでも、「何に使用するか」次第ではないがしろにできないお買得なラインだったりします。指輪に使用されるダイヤモンドは、衝撃に耐えられるSI-1以上のものが好ましいのですが、ピアスやネックレスに使用されるダイヤモンドは、使用中にぶつかったりするリスクが低いため、そこまでの耐久は求められません。SI-2やI-1のグレードの内包物の中には、ダイヤモンドに内包されたペリドットやガーネットなどの他の宝石であることもあります。虫眼鏡でも色が付いているのが分かるレベルのものになると、ジェム・コレクターの方たちには見逃せない「レア・ストーン」の仲間入り。要は、肉眼でみたときに「美しさを損なうレベルかどうか」を一番に考えた方が間違いはないわけです。クラリティは先入観を除いて、グレードをみる前にまず「肉眼でみてどのような印象を受けるか」で直感で選んでから、そのさらに上のグレードにこだわるか、一つ二つ下のグレードも見てみるか、見比べてみることが一番です。
♪店頭でのキーワード♪
「使用目的は、○○です」(※婚約指輪か自分のファッション用か、ファッション用ならリングかネックレスか何のアイテムに加工したい予定か伝えるとOK!)
○カット(Cut)で選ぶ
輝きを決定し、唯一人間の手が入るのがこの「カット」。1919年にロンドンの数学者トルコウスキーによって完成され、その輝きは58面ある面同士の、それぞれ隣合った面との角度ですべてが決まります。
カットは、予算が許すなら最も重視すべきところ。なぜなら、カットが良いダイヤモンドは、先に挙げた3つのグレードが低めでもすべてをカバーするほどの影響力を持つからです。
良いカットが生み出すものは、”強い輝き”。その強い輝きは、多少の色味や内包物(インクルージョン)の影などは、その輝きで飛ばして見せることができます。一番最初にあげたカラット重量も、理想的なプロポーションであれば、そもそもそこまで気にしなくとも見た目の大きさは保証されているということになります(定義上、カットが良いもので、直径が小さく見えるものはありません)。望むならExcellent(エクセレント)、可能ならVery Good(ベリー・グッド)。もし、Good(グッド)以下を選ぶ場合は、必ずそのお店にいる店員さんにアドバイスをもらって、自分に合ったものをしっかり目で見て、選びましょう。結局は、自分が使用するときは「見た目の美しさ」がすべてです。カットが良いものは勿論輝きは強いですが、その「見た目」が自分好みの輝きかどうか、手に乗せたりあらゆる角度から観察してみて、是非一考してください。
♪店頭でのキーワード♪
「何種類か、カットグレードの違うものを見比べることはできますか?」
○コスト(Cost)で選ぶ
これが一番ネックになる部分ですよね。
ダイヤモンドは誤解されている方も多いですが、本当にピンキリで、上を見ても下を見てもキリがないのです。でも、最初にも申し上げたように、「買ったものの、もったいなくて使えない」という感覚になってしまったら、それは自分のライフスタイルに不相応のダイヤモンドを選んでしまっている証拠!宝石は、身につけてナンボです。せっかく輝くために生まれてきたのに、宝石箱の暗闇の中にず~っとしまっておくなんてかわいそうですよね。ご自身のライフワーク、ライフスタイルに合わせた、無理のない金額のものを選ぶのが一番ベストです。買ったけれど結局使ってないジュエリーほど、「高い買いもの」になってしまっているものはないですから・・・。
♪店頭でのキーワード♪
「予算は、○○くらいで考えています」
以上が、ダイヤモンドを選ぶ際の4つのCプラス1Cで、「ダイヤモンドの5C」になります。
いかがでしたでしょうか?
これはあくまで一案ですが、もし「ダイヤモンドが欲しいけれど、どうやって選んだら分からない」といった方がいらっしゃった場合に、その一助となればいいなと思います。
私たち宝石鑑定士は、疑問を持ったお客様にお答えするために存在しています。迷ったとき、疑問に思ったときは聞くのが一番!是非、じゃんじゃん私達お店のスタッフに頼っていただければと思います。
でも・・・。
「失敗しないコツ」とは言いましたが、ジュエリーって、そもそも頭で考えて「理性」で買うものではないですよね。心揺さぶられるジュエリーと出会って、初めて感情が動かされる、要は「感性」で選ぶものです。
上記に羅列した「ダイヤモンド選びのコツ」は、「素敵!」と思ったダイヤモンドと出会ったときに、プラスアルファの知識として、「そういえば・・・」と思い出していただけたら嬉しいです。
さあ、早速ご自分の心を揺さぶるダイヤモンドを探しに行きましょう!
きっと、「なるほど」と思っていただける部分もあるかと思いますよ♪