☆豆知識2☆ ?宝石の色を決定する、「光の選択吸収」って何?
今日は、宝石のにおける光の「選択吸収」について、ちょっとだけ簡単にご説明いたします。
光の「選択吸収」・・・言葉だけ聞くと、何がなにやら分からないですよね。「なんか難しそう」と思ってしまったあなた!ちょっとだけ、目を留めてください。この仕組みが分かると、宝石それぞれの一番の個性である「色」がどうやって生まれているのかの仕組みが分かっちゃうんです。
宝石たちが私たちを魅了する要素の一つである、”色の原因”―是非、探って参りましょう。
まず、知っておきたい情報としては、宝石には
○構成している成分に、もともと色の原因となる元素が入っている宝石(例:ペリドットのFe(鉄)、トルコ石のCu(銅))
と、
○構成している成分には、色の原因となる元素が存在していない宝石(例:ルビー、サファイア、エメラルドなどほとんどの宝石)
の2種類があるということです。
後者の”色の原因となる元素が、構成成分の中に存在しない宝石”は、純粋な結晶の場合は「無色」です。
そう!
純粋なルビー、サファイア、エメラルド、アレキサンドライトなどの宝石は、無色なのです。
色が生じる原因は、
a.結晶構造内に取り込まれた微量の「不純物」
b.結晶構造内の「ゆがみ」
c.結晶構造内の「欠陥」
などいろいろ考えられますが、主にaの「不純物」の存在が一般的(一番多い)だと思います。
例えば、以下の結晶には次の不純物が”色の原因”になっています。
・ルビー→不純物「クロム」→赤色
・サファイア→不純物「鉄+チタン」→青色
・エメラルド→不純物「クロムかバナジウム」→緑色
・アクアマリン→不純物「鉄」→海水色
・アメシスト→不純物「鉄」→紫色
・イエローダイヤモンド→不純物「窒素」→黄色
などなど・・・。
ここから、いよいよ光の「選択吸収」の本題に入ります。
上記の宝石たちは、本来は無色透明の結晶です。
”無色透明”に見える宝石たちは、本来7色の混合体である通常光(白色光:豆知識1を参考にしてね♪)を、すべて透過することで”無色”に見えます。
そこに、上記のようなちょっとの不純物が混ざることでそれぞれの色を生じる訳なのですが、簡単にいうと上記の不純物が、”ある特定の色の光”の透過を妨げることで、透過して残った光の色の種類が決まります。
分かりにくいですね~。
もう少し分かりやすく言うと、
1,「赤・橙・黄・緑・青・藍・紫」の7色が混ざり合った、白色光が特定の宝石を透過。
↓↓↓
2,宝石中にある微量の「不純物」(上記のクロムや鉄)が、ある特定の光の進行を妨げ、その光を吸収してしまう。
↓↓↓
3,吸収されなかった、残りの光が透過して混ざり合ったものが、私たちの目に届く。
↓↓↓
4,それが、私たちの目にその宝石の「色」として認識される。
・・・ということです。
要は、「光の選択吸収」という言葉は、上記の2の部分を言うわけです。
これをふまえると、その石によって色の濃さが違ったり、色の純粋さが違ったりする理由が見えてきます。
もちろん、単純なことだけではありませんが、でもあえて単純に説明すると「不純物の量」でその宝石の濃さが変わる・・・ということになります。
「光の選択吸収」とは、このような「不純物」「結晶のゆがみ」「結晶の欠陥」が原因で、白色光の7色のうち、何かの色が吸収されてしまうということ。
その結果、私たちの目に届く色が、無色ではなく「吸収されなかった色の混ざり合ったもの」になるということです。
ちょっと、複雑でしたね。
でも、これが分かっていると、後に出てくる「アレキサンドライトの”変色性”の秘密」なども簡単にご理解いただけると思います。
余談ですが・・・
「光の選択吸収」では、
・すべての光を透過→無色透明
・すべての光を反射→白色
・すべての光を吸収→黒色
・・・の宝石となります。
それでは、また次回!!
より原子レベルでの宝石を理解し、「宝石の神秘」を一緒に解明して参りましょう♪